オシロイバナ 雪ノ下界隈 |
夕方に花開くオシロイバナは地味ですが、甘い香りが魅力的です。
花に見えるのは融合したがく片で、花弁はありません。
写真は浄光明寺から鎌倉駅に向かう途中に見かけたものです。
午後4時頃だったので萼(がく)を開いたばかりでしょうか。
オシロイバナは江戸時代に中国経由で大量に入って来た花のひとつで、
名付け親は本草学者で儒学者の貝原益軒。彼は自著『大和本草』に
この名を記載しています。ただし「白粉花」という名前を紹介するにとどまります。
その後に発刊された『和漢三才図会』では、
花後にできる黒い実のなかにある胚乳を潰すと白い粉が出てきて
これをおしろい代わりに使ったのが名の由来と、正しく記されています。
オシロイバナは一般に夕方咲くことになっていますが、
秋になると気温に反応するのか、開花は早まります。
ひとつの株に異なる色の花を付けたり、それらが交雑して
半分ずつ違う色の花を付けたり、夜に雄しべと雌しべが
曲がり始めて自家受粉したり、草本なのに太い茎を
持つなど、なかなかにユニークな花です。